「いらっしゃーい」 ガラガラっと店に入ると、空になった一升瓶を手にした店長が笑顔で振り向いた。 「ひさしぶりだな、樹。元気か」 店長は、一度でも店に来た客の顔と名前をきっちり覚えている。 あの光り輝く頭の中に沢山の人物がインプットされているんだ…。 「元気ですよ、一応」 「ははっ…まぁ、ゆっくりしてけ」 にっこり笑うと、そのまま店の奥へと消えてしまった。 今日もダリは繁盛しているようだ。