冬が近づき、だいぶ日が短くなった。 まだ7時なのに、外は真っ暗だ。 ここはたいした都会でもないので、夜の明かりは月ぐらいだ。 静かな夜道を歩いていくと、小さな灯りが見えた。 「…やってるやってる」 樹のお気に入りの居酒屋、『ダリ』だ。 建ち並ぶ民間にすっかり溶け込んだその店からは、微かにオヤジの笑い声が聞こえる。 たのしそうな声だ。 自分も、パァーっといくか。