「・・・・ねぇ、桜」

「どうしたの?優香」


待ちに待った修学旅行は、とっても楽しくて、すっごい楽しくて・・・・・な、予定だったのに。
現実は歴史博物館で長々と話を立ち聞き。

高校の修学旅行って、もっと楽しいものだと思ってたのに・・・。


そんなこんなで落ち込んでるのが私、前田桜。
で、私の隣で同じく落胆してるのが親友の優香。
いや、今は落胆というより興奮してるようにも見えるけど・・・。


「こんなつまんない話、聞いててもダルイだけだよね・・・・?」

「まぁ・・・・ちょっと長いよね、話」

「だよね!じゃあ、じゃあさ・・・・ちょっと冒険しない?」

「・・・・え?ちょっと、怒られるって」


優香は歴史については大の付く物知りであり、歴女である。
ガイドさんの話すことも既に知っていることなのか、さっきからつまらなそうにしてたけど・・・・。
抜け出すのは、ちょっと抵抗がある・・・。



「大丈夫だって。お昼休憩の集合までに集まればバレないよ」

「迷子になったらどうするの?」

「なるわけないって・・・高3だよ?高3の修学旅行なんだから、もうちょっと思い出作りたいじゃん!」

「・・・・・・・・ちょっとだけだよ?」

「やった!決定ね。もう変更なんてできないからねっ」

「はいはい」


優香が笑顔になるのをみて、私も自然に笑顔になった。
まぁ・・・・ちょっとぐらいなら大丈夫だよね。

というより私もノリ気になってきちゃったし・・・。


優香に手をひかれるまま、こっそりと先生達の目線を避けて走った。