「…佐伯?」




「…っ、ごめんっ…ごめんな高橋…っ」





「佐伯、泣かないで。」




「…ごめんっ…ごめんな…っ」





謝らないでよ。

佐伯は悪くない。


私のこと、全力で守ろうとしてくれたじゃん。








「…佐伯…、あたしも、ごめん。」




「…え?」





「ちゃんと佐伯のこと信じればよかったのに…。一度裏切られたって気持ちが邪魔して、佐伯を信用するのが怖いの。」



「…俺が、ちゃんと言わないから悪かったんだ。俺、高橋のことめちゃくちゃ傷つけた。俺、もう佐伯を守る資格も、これから恋愛する権利もない。」




「…そんなこと言わないで。今は無理かもしれないけど…、佐伯はきっとこれからは上手に誰かを守れる。私は佐伯に幸せになってほしいよ。」





言った瞬間、私は佐伯の腕の中にいた。



「…俺、お前に彼氏がいないときに、彼女つくったりしない。」


「…そんなの、私だけずるいじゃん。…じゃあ私は、佐伯に彼女ができるまで、好きな人ができても自分から告白はしない。」






これが、私たちの、約束。





私たちはもう一度付き合ったとしても、きっと過去を引きずって、うまくいかないから。








それでも繋がってたくて、約束をした。





「じゃあ、…またね。」


「またな。」






帰るときは一度も振り返らなかった。
もう、恋愛で泣くことはしないと自分に誓った。






そして、彼は地元の高校、私は電車で40分ほどの、都会のほうの高校に合格した…。






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