その手紙には、
 確かに父の名前があった。




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  朱里へ

  お誕生日、おめでとう。

  元気か?

  お前はしっかり者だから、

  きっと元気に

  生活していると思う。


  1年前、

  急に姿を消し

  本当にすまないことを

  したと思っている。

  私には、どうしても

  どうしても

  しなければならない事が

  あったのだ。

  そのことで、まだ

  家へは帰れそうにない。

  だが、私は

  何処にいても、

  いつだって、

  お前とお母さんのことが

  大好きだ。

  それだけは、

  忘れないでいてくれ。


  では、元気で。


         父より

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 涙が零れた。


 手が震え、

 足が竦んで座り込んだ。