*** 昨日 ***


「ごめんね、おっきな音立てて、しかも指切ったのの手当てまでしてもらって」



浅井さんの人差し指の先の怪我を見ているときに不意にかけられた声。

びっくりして勢いよく顔をあげたあたしは、至近距離で浅井さんと目があってしまって、自分でも頬が赤くなっているのがわかる。



「あ、や、大丈夫です。全然」

「そう?や、あんまり言いたくないんだけどさ・・・」



あんまり言いたくない事?

あ、さっき勝手に部屋に入ったこととか?

迷惑だって事??

ど、どうし―――――



「ピアノ。」

「へっ?」