「そうだった」
くるっと顔をあたしの方に向ける
「名前、聞いてもいい?」
「へ?名前?」
「そう。君の名前」
「あぁ、凛です」
「凛ちゃんね」
納得したのか中城さんは名前を聞くと前に向き直った
そのまままた何か話しかけてくれるのかと期待したものの大きくはずれた
中城さんが話さないと誰も話さないこの空間
微妙に気まずい
正直いづらい
中城さんは窓の方を向いてるし、運転手さんは当たり前だけど前しか向いてないし
あたしから何か話しかけた方がいいのか?
なんて無駄に考えていたら「着きました」と言う運転手さんの声が聞こえた

