湊は湊でずっと同じ顔をしたままじーっとあたし達の方を見てくる
それはもー、これでもかってくらいに…
「とっとと話してくれよ。俺、何気早く帰りたいんだけど…」
「リュウ…ったくお前は…こんな緊急時によくもまー、んな眠そうにしてられんな!!」
「だって…おそらく今回の件は翼みたいに事を急かしたら危険なやつなんだと思うし」
「んなこと何でお前にわかんだよ…」
「そーなんだろ、湊?」
「…」
案の定ふられた本人は黙り込んでる
それは肯定とも否定ともとれるようなもので…
「凛」
あの地から這い上がったような野太い声が聞こえた
湊から呼ばれたことなんて最初に会ったとき以来だった
「へ、へい!!」
呼ばれなれてないせいか変な返事をしてしまうあたし
遂には翼に地味に笑われた
あんにゃろー、いつか覚えてろよ…
「お前には黒猫だっていう自覚をもう少し持ってほしい」
「は、はい」
「自覚を持つってのはけっこうたいそうなことだけどな、俺らは一応自覚は持っている」
「……」
「だからこそ考えて行動しなきゃなんねーことなんかたくさんあんだよ」
「……」