「おい、凛が道教えてくれねーと俺ら夕飯食えねーぞ?」
「え?……ああ、ちょっと待って」
あたしは辺りを見渡して自分達がどこにいるのかを確認した
ここからだと、あの道を通ればいっか
「んーとねー、とりあえずここの道真っ直ぐ行って、んで程良い所で右に曲がってずーっと行くと着くよ」
「そうか。じゃあ、その程良い所になったら教えろよ」
「わかってるって」
「ん。こっからどれくらいかかる?」
「そうだな…だいたい30分位?」
「けっこう歩くんだな」
「まーねー。やめとく?」
「いや、そこでいい」
ごめんリュウ
あたし嘘ついた
30分で着くとか嘘
本当は15分で着けるところをわざと遠回りの道を言ったんだぞ?
やめとく?とか本心じゃない
本当はめちゃくちゃ行きたい
あたしの我が儘に付き合わせてごめん
でも、もうちょっとだけ
もうちょっとだけ付き合ってくれたらあたしは嬉しい
あたしはすっかりリュウの優しさの虜になってしまったみたいだ