「じゃ。気をつけてなー」
「うん、じゃー」
浩子が立ち去って数分後、瑶がチャイムを鳴らす。
予想外に早い到着で、俺は一瞬背中に汗が流れるのを感じた。
「早いじゃん」
「電話しながら向かってたもん。何かやってたのー?」
「いや、別に」
わざわざ浩子の事を瑶に話す必要もないと思った。変に勘ぐらせるのも面倒臭いし。
「ね、セブンの限定アイス買いに行かない?」
俺のTシャツの袖を引っ張りながら瑶が俺を見上げる。
「アイスなら婆ちゃんの買い置きあるよ」
「限定がいいのぉー」
「俺ぇ風邪気味なんだけど?」
「じゃ、ミツルは食べなきゃいいの♪」
イタズラっ子の用に舌を出して瑶が笑う。
俺は仕方ないなぁと諦め顔で瑶に促されるまま外へ出た。

