理衣の自宅は豪華なものだった。
俺と婆ちゃんが住んでる年期の入った木造家屋とは違い、田舎特有の広い敷地に近代的な白い洋風の建物。
両親が外国を飛び回る仕事だからなのかは知らないが、山と畑ばかりのこの土地には不釣合いなヨーロッパの臭いがする家だった。
「あれー瑶、もう来たの?補講は?」
立派な門構えに理衣が手をかけた時だった。
俺達が歩いて来たのとは逆の方向から黒の学校指定カバンを提げた女に気付いて陸斗が声をかける。
「数学嫌いだから仮病使って抜けてきちゃったー」
瑶と呼ばれた女は、無邪気にそう言いながら俺達の所まで来ると足を止めた。
背は160位か。
細身の身体だからもう少し高く見える。
巻き髪の理衣と違ってサラサラのまっすぐな髪。
顔の半分・・といったら大げさかも知れないが、その例えに負けないくらいの大きな目。
ちょっと・・かわいいんじゃない?

