もう一度 君に会えたら

「親父…いる?」


俺の言葉に再度母親は目を丸くして驚いていた。


「お父さんならリビングで本見てるけど…何か用事でも?」


「うん、ちょっとね」


喧嘩はやめて、という無言の呟きを背中に感じながら俺はリビングの扉を思い切り押し開けた。


「――充」


久しぶりに見た親父は、何となく小さく感じた。

数ヶ月離れてただけなのに不思議。

読みかけの雑誌を静かに閉じ、いきなりの息子の訪問を驚きもせずに受け入れていた。


「ゴメン、親父に話…つか相談あって」


親父と口をきいたのは何年ぶりだろうか。

まぁ、もともと無口な人なんだけどね。