もう一度 君に会えたら

持って行けって・・・。

バラの花持って彼女のトコに行くなんて恥ずかしくて行けねーって。

しかも病院だし・・会えるかも分かんねーし。


動きが軽くなったハサミを俺から取り上げると、善は急げとでも言うかのように庭先のバラを積み始める。

それを器用に新聞紙でくるむと「ほれっ」っと差し出した。


新聞紙でくるまれたバラの花束・・・。

美的センス・・マイナス100。

さすが婆ちゃん。


つか、これ持って行くのか?

新聞紙のままで?


キレイな紙に巻き代えてよ、と言える勇気は俺にはなく・・。


仕方なく、そのセンスたっぷりの花束と財布だけをもち俺は家を出ることにした。