もう一度 君に会えたら

タケが付けてくれたタバコを丁寧に吸いながら、冷静に整理することにする。


浩子の親戚が入院してるのはどうやら本当のようで。


そこで1回会っただけの瑶を見分けられたのか、という疑問が持ち上がる。


例えそれが浩子のウソだったとして、それがあいつになんの利益があるんだ?


そんなの瑶がピンピンしてる姿を見ればウソだってすぐバレるだろう。


俺は空いた方の手で頭をかき回しながら一生懸命考えた。


夕方だというのに気温は下がる気配もなく、俺の髪は汗で湿っている。


ふと顔をタケに向けると、シャツの背中がうっすら汗ばんでいた。


「何か冷たいものでも食いに行かね?」


2時間もバイクを飛ばしてきて、暑い山の上で男二人何も飲まず食わず。

義理堅い訳じゃなく、なんか申し訳なくてね。


「食う前にオマエはやる事があるだろーが」


のんきに食いに行ってる場合じゃねーだろ、と呆れたような、半分怒ったような表情でタケが言った。