「橘、話あんだけど、ちょっといい?」 下駄箱で帰ろうとする橘を引き止める。 「…いいよ」 俺たちは誰もいない教室へと場所を移した。 教室は夕日の陽射しが差し込み、オレンジ色に染まっている。 「"黒崎"って誰?」 「率直だね」 橘は困ったように笑い、自分の席に腰掛けた。