「佳祐ー、電話鳴ってるよ」 風呂から上がってくるとリビングから姉貴の声が聞こえてきた。 「あー…わりぃ」 タオルで髪を拭きながらリビングに入る。 「"香坂"だって」 バッと顔を上げた。 誰だって!? 「友達?もしかして彼女?」 ニヤッと笑う姉貴から携帯を取り上げ、急いで自分の部屋へと向かった。 携帯には確かに[香坂]と表示されている。 どうする? 出るか? いやいや、ここは無視だろ。 今更何だっていうんだ…。 そう思いながらも気付けば電話に出ていた。