「…傷付けたのに?」


「あれぐらい気にしてないよ。つーか、諦めるとか言ってやっぱり諦められてねぇし」


自分に対して呆れたように笑う。



「……私、好きな人いるよ?」


「知ってる」



「その人のこと忘れられないよ?」


「…うん」



「それでもいいの?」


「いいよ」


涙が込み上げ、視界がぼやけてくる。


そんな私に榊は優しく笑いかける。



「…それでも俺は好きだから」


そう言って優しく抱きしめられる。


榊の温かさが心地好く感じた。



この人となら新しい恋が出来るかもしれない。



そう初めて思えた。