はっとして顔を上げると、外には彼女のもう一人の幼馴染のディリアスがいました。
「あんた、なんで泣いてるの?…ひょっとしなくてもあのババァたち!?」
「ババァって…。今日舞踏会があるの知ってるでしょう?」
「あぁうん。うち注文すごくて大変だったもの」
ディリアスの家は街一番の仕立て屋でした。
「んで?舞踏会に行けなくてショックだっていうの?」
こくりとシェリンは頷きました。
「もう、着ていけるドレスも靴もないの…。私はただの灰かぶりなのよ…」
「行けるようにしようか?」
顔を手で覆って泣いていたシェリンは驚いて顔を上げました。
見上げるとディリアスの悪戯を思いついた顔。
「あんたに魔法をかけてあげる」
比喩ではない彼女の言葉。
その魔女の言葉にシェリンは頷きました。
.


