「な、南緒くん!?」

驚いていつもは出ないような大声が出た。

友達もすっごく驚いてる。

イケメンがいると思ったらあたしみたいな地味子と知り合いなんだもん。

「お客様、お静かに願います」

周りのお客からの視線で冷静になった彼の声が聞こえる。

「柚奈(ゆな)ちゃん、後で説明するよ」

ぼそっとそんなこと言われたら静かになるしかないじゃない。

押し黙ったあたしにちょっと笑いかけて彼は厨房に戻っていった。









「ごめんね、待たせちゃった」

友達には先に帰ってもらって近くの図書館で待っていたあたし。

彼は息を切らしながらも優しい笑顔を崩さなくて。

ちょっと前のあたしだったら短いと思ってただろう一週間の長さを教えてくれた。









「・・・久しぶり。最近2本遅い電車で帰ってたんだ。

あそこでバイトし始めたから。

といっても短期だから明後日で終わりなんだけどね」

疲れたー!もうバイトなんかするか!って伸びをしながら言う南緒くん。

ん?どうしてバイトなんかしてるの?

そう率直に聞いてみると、

「秘密だよ」

なんていたずらっ子の笑み。








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