【短編集】砂糖をかけたみたいに








「あら、もう魔法とけたのね…ってどうしたのよ!?」

泣きじゃくるシェリンをみてディリアスは慌てふためきました。

そんな彼女には申し訳ないと思ったけれど。

「ごめん、歩いて帰る…」

いつもと様子の違うシェリンに戸惑っていたけれどディリアスは無理すんじゃないわよとでこピンして帰っていきました。









王子はきっとこんな姿じゃ私だとわかってくれるはずないわ。

もうきっとずっと私はお継母さまたちにこき使われて一生を終えるんだわ。

もう…こんな夢のようなこと現実にはなりっこないのよ。

歩いてうちまで帰る間、彼女は啜り泣いていました。









自分の部屋に帰ると慣れた赤い髪。

「ルギオン……」

「あ、お帰り。つかどこに行ってたんだよ?こんなに遅くなる前に帰ってこいよ。って…ええ!?」

ルギオンは勢いよくたちあがりぼろぼろと涙を流すシェリンに駆け寄りました。

彼女の両肩に両手をおいて覗き込む彼の顔は苦しそうな色を出していました。

シェリンをベットに座らせその隣に座り、彼は彼女の背中をぽんぽんとたたく仕草をしました。

「ほら、ゆっくりでいいから何があったか言ってみろよ。我慢すんなって思うし、俺を頼ってほしい。いくらだって泣いていいから」

ルギオンの肩に頭を預け、シェリンはゆっくりと全てを吐き出し、そのうち眠ってしまいました。




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