「とりあえず座ろっか。
つかれたでしょ、一日こんないい加減なマスターに付き合ってくれてありがとう」


「ほんとだよー、たのしかったからいいけど」


ソファー席に腰をおろした聖さんのとなりにためらいながら座った。

改めて二人にさせられたら何を話したらいいのかわからなくなってしまう。
二人の間に重い沈黙。


「さっきの話だけどさ」


「ん?」


「昨日知り合った俺が言うのもなんだけど、お友だちからはじめてくれないかな…?
あかりちゃんのこと知りたくてたまらないんだ」


一瞬思考が止まってから、少しして、なにか体の奥から熱いものが流れ出すような気がした。
心拍数が上がって彼の顔がまともに見れなくなる。


「ずるいなー、あたしが断るわけないの知ってるくせに」


可愛いげのない言葉しか出てこない。

そんな言葉にも目を細めて優しく微笑む彼のことを愛しく思った。


「うわー、もうあかりちゃん可愛すぎ」


そう言って聖さんは思いっきりあたしのことを抱き締めた。


…そんなことしたらあたしが今なに思ってるかなんてすぐわかっちゃうのに