5分で無理矢理着替えを終わらせて、恐る恐る階段を降りた。


「…あ、やっぱり似合うね」


笑顔で先に言葉を発したのは彼の方だった。
いや、正確に言えばあたしはまた言葉を発することができなくなっていた。


「聖さん…それ…」


「やっぱり…変かな?」


少し不安そうに眉をひそめてこちらを見る彼。


…やばい、そんな悩ましい顔したら本気で惚れちゃうじゃん。


「…かっこいい」


黒いパーティースーツを身につけた彼は、普段よりずっと大人びて見えた。

エンジ色のネクタイとチーフが華やかで、タイトなデザインも華奢な彼によく似合っている。