次の日・・・

朝早くから同じ部活の結奈が迎えにきた。
部活って言っても男子バスケ部のマネージャーだけど..

「あれー・・?あゆちゃん、元気ない?」

いつもは「渉」って呼ぶ結奈が
「あゆちゃん」て呼ぶのは大抵心配してるとき。

「ううんっ。なんでもない^^」

無理な作り笑顔も結奈には
見抜かれていたかも知れない。

...学校

部活でマラソンタイムを記入する手にも
あまり力が入らない。

「おい、あゆ!!ストップウォッチ!!」

「・・・あっ・・ごめん・・」

幼馴染だけど一個上の雄大先輩に言われて
我に帰る・・。

「悩み事か?渉らしくねぇなッ。」

頭をくしゃっと撫でて、先生にタイムを確認しに行く。
.....いつもは大好きな雄くんのしぐさも
なんだか素直になれない..。
雄くんが頭を撫でてくれるのは、
アタシへのご褒美の時が多い。
でも、今日のは気づかいだったのかな..。
そう思うと、「ありがとう」って言いたい。


教室に行っても、なかなか元気になれなかった。
結奈は別のクラスだし・・。
ため息を連発しているアタシのもとへ..

「なーに、暗い顔してんのっ??」

ふにゃっとした笑顔で、寄ってきたのは
生まれたころから一緒。
家も隣、誕生日も血液型も一緒。
なんていう奇跡の幼馴染。

*林 章大*
バスケ部で、雄大と仲良し。
すごく大切な人。
雄大と章大は、お兄ちゃんみたいで、
大好きなんだ。


「・・・しょっ・・たっ・・」

章大の優しい笑顔を見たら、
なぜか涙が抑えられなかった。

「え?!ちょ、あゆー・・?」

章大の大きい手に ポンポン ってされても
アタシが泣きやむことはすぐにはなかった。

キーンコーン・・・

チャイム・・。
いつもは何気ない音なのに、
今日は一段とムカつく・・。

「あゆ、俺戻るね?またね!」

少し離れた席の章大は
ちょっと焦って戻って行った。

章大や雄くんにまで迷惑かけるなんて
バカみたい...

立ち直らなくちゃ、
そう決めたのに。

聞きたくないことが、
アタシの耳に飛び込んできた。