「好きな人を全身俺好みにするっていいな」



唐突な言葉に固まったアタシに気づいてないのか、それともそんなアタシをからかっているのか……


す、好きな人…って言った?

改めて聞いた言葉に今度は顔が熱くなって

デザートをたくさん目の前に並べた興奮もどこへやら……


どっかに飛んでいったみたい



「征服欲が満たされるとでも言うのかな」



征服…………



どこまでも上からのセリフにたまに疑問を感じながらも、真っ赤に沸騰しそうなアタシをよそに、かずまはフォークをいちごにつきさすとアタシの口に無理やり押し付けた



「おいしい?」

「うん……」



ダメ、もう……


お釈迦様の手中でおろおろしてる孫悟空みたい

どんなにあがいても、彼のテリトリー

全身を委ねてしまえば楽になると仄めかす欲求と、アタシの理性がせめぎ合う


アタシは上がりっ放しの体温を落ち着けるために、食後のアイスレモンティーを飲み干した



ふうーーーと息をつく



爽やかなレモンが体内からアタシをちょっと冷やしてくれる


「食いすぎ、デザートそんなに並べる奴はじめてみた」


「だって!好きなだけ食べていいって言うんだもん!」



落ち着けアタシ、勝つんだ理性、ほだされるな……アタシ