「わからないでしょ?葬式とかは遠くから会ったこともない親戚が来てしてくれても、その後のこととか…学校とか…どうすればいいの?って……


それをぜ~んぶあこの親がしてくれたんだ


で、無事高校も卒業できたし、あこの両親が管理してくれた遺産で大学まで行くことができたんだけどね……、やっぱなんかお金が減っていくだけで増えないのは心細くて、働いてないと不安だったから…」


かずまの目を見返して微笑む


「あこの家族はみんなすぐ野良猫拾っちゃうくらい優しいんだよ


……だから大好き」



かずまも同じように微笑み返してくれる


「周りにいる人達のおかげで、先生になるっていう夢、背中押してもらえたし……」

「向いてねえけどな」


「もう!そんなこと言わないでよ」


……また、笑ってる

こんな笑う人だっけ

いつも怒られてばっかりだったから……


「アタシの両親も、教師だったの」


テーブルに置いていたアタシの手をかずまの指がなぞって、ギュッと包むように握られた


「晴れて先生になれたら!夜の仕事もやめられるし」

「なれんのかよ?」

「なれるよ!アタシ、教育学部でも成績トップクラスだよ?」

「マジ?」


目を見合わせて笑った


「意外と色々ちゃんと考えてんだな」


どんな風に思ってたのよ…と握られている手を動かそうとしたら、押さえつけて阻止された


重なるきれいな指は、もっと絡めて欲しくなるような……熱を持っていた