大きな鏡の前に座らされると、あっという間にメイクが施され

寝癖のついた髪はまるで羽のようにふわふわとセットされて


バービー人形のように全身着替えさせてもらうと、洗車の終わった車のようにかずまの前にお披露目された


どうすればいいのかわからず

ただじっと立ち尽くす


……な、何か反応して……



切れ長で鋭い目で射抜かれると、ますますその場から動けない

「一周まわってみて」

恥ずかしいのに、拒否できずにスピード早めに一周回る


「いい感じ」


そう言われて俯いたまま顔をあげられなくなってしまった

きっとものすごく顔が赤い


年下の高校生にいいように手玉に取られている

わかってる


その手中から逃げ出そうと拒むことだってできるのに

そうしないのは……



ソファーに座ったまま満足気に微笑んだかずまは手を伸ばしてアタシの手を取ると立ち上がった


「飯行くか、何も食ってないだろ?」


チェストの上に丁重に置かれてある重量のありそうな時計を確認すると夕方をとっくに過ぎていた


アタシの指の間にするりと忍び込んでくるかずまの指に誘われて部屋を出る


「あの……」


服とか、靴とか、世の中的には、『着て帰ります』とか言ってお支払いをして…やっと自分の物に…なると思うんですけど……


「何?」


と質問を受け付ける気の無い返事のかずまに一生懸命ついていく

さっきエントランスで野良猫の侵入を許すまじとアタシを止めようとしたチーフがこちらを見て笑顔で会釈してくれる


「これ、このまま着ていっていいの?」


エレベーターホールではまた別のホテルマンがエレベーターの扉を押さえて待ってくれていた

タイミングばっちりすぎ

……至れり尽くせり

強引に腕を引かれてエレベーターに乗り込むと、アタシとかずまだけを乗せて音もなくドアが閉じられた