チーフさんはすぐにアタシ達をゲストルームと書かれた部屋に通してくれた


「メイクと髪と、あとこの人に似合いそうな服と靴、持ってきて」


かずまの言葉をまるでとなりの部屋から聞こえてくる人の声のように感じていた

今のアタシを表現できる言葉はただ一つ



“キョトン”



チーフさんは「承知いたしました」と大層ご丁寧なお辞儀をしてゲストルームを後にする



「ど…ど……」

「落ち着けよ」

「どこのセレブですか?」



ふっかふかのソファー


家具も壁にかけられた絵もゴージャスなゲストルームに似合わないアタシはすっごく

ものすっごく居心地が悪い



「親父がここのホテルの建設に携わったからね」



建設??

建築??……


え?新田って……


テレビでたまにみかけるCMソングを思い出す

家は住む人の顔、新田建設株式会社

ニッケンニッケン ニーッケン♪


「ニッケン……」


「親父の会社」


ええっっ!!


アタシはこれでもかっていうくらい目を見開いた


「ちなみに桜夙川大学と高校の理事長は親父の学生時代からの友人」

はあ……


いや、家を見た時に金持ちだとは思ってたけど……

まさかそんなにすごい人だとは……



というか、住む世界や育ってきた環境が違うんじゃ……



絶句



「失礼します」という声とともにあけられたドアからハンガーラックが数台運ばれてきた