「結婚したいの?」


少しくぐもった声

物好きはあなたもでしょって思いながら、アタシはかずまの頭を抱きかかえる


「アタシは、先生になりたいの」


かずまは顔をあげてアタシの唇にチュッと軽くキスをすると、膝からアタシをおろして立ち上がった


「さて、行くか」

「どこに?」


指を絡ませるように手をつながれて、アタシは慌てる


「え?メイクもしてないんだけど」


答えないかずまはそのままアタシの手を引いて部屋を出て玄関に向かう


「服も着替えてないよ」


近所のコンビニに行くときに履く用のスリッパをつっかけて家を出る


「財布も携帯も持ってない!」


マンションの下には、いつの日か乗せてもらった外車


明らかに違和感のある格好でアタシはかずまに引きずられるようにそれに乗り込んだ



横に座るかずまに目をやると、何食わぬ顔


高そうなシャツを軽く着崩して、細身のデニムに光沢のある革靴

ブランドのロゴが小さく入ったベルトも嫌味じゃない


ゆっくりとこちらを見た目が意地悪に光った


「見とれてんの?」


自信たっぷりの笑顔

アタシは「別に!」と慌てて自分の部屋着に目を落としたけど、それはあまりにもよれよれで情けなくなった