「靴」


そう言われてアタシが下を見ると、かずまに買ってもらったパンプスが並んでいる


「これ、今日のドレスに合うでしょ~」


というと、かずまは以前生徒会室でそうしてくれたようにアタシの前にひざまづいて…アタシに靴を履かせてくれた

そして立ち上がると、アタシの手をつかんでゆっくりと引き起こす


ママがこっちに顔を向けて「ご愁傷様…かずま、自分の身は自分で守ってね」というと、近くにいたちづるさんや他の女の子たちと笑っている


「マキ、捨て身で襲ってくるよ」


という誰かの言葉を背中で聞きながら、アタシはかずまに腕をひかれて店を出た


乗ってきた車は置いておいてタクシーをつかまえる


かずまに背中をおされてタクシーに乗り、その後かずまが乗ってくるとなだれの勢いでその胸に顔をすり寄せた


「ボーイさん……」

「その呼び方やめろ」

「……かずま」


行き先をつげるとタクシーが動き出す


「ねえ、泊まってく??」

「送ったら帰る」

「そうなの?じゃあ、アタシひとりぼっちだ……」

かずまの胸を人差し指でなぞる


「寂しいな……」


と見上げても、「あっそ」という返答だけで、冷たい目がこちらを向くことはなかった


「かずま…こっち見て」


そう言うと、やっとかずまの感情のない横目がアタシを見下ろす

顔をあげて彼の涼しげな横顔に近づくと頬に唇をおしつけた







「気持ちいいこと、したい」