気づいたら……新田くんの腕の中


細いのに、意外と厚い胸板に自分の顔が寄せられてて、心臓が堰を切ったように全身に血を送り出す


心地いい彼の体温に頭が酔いだす



「わかった?」



返事を求められてる



……簡単に人に体を触らせるなっていう…お説教だよね?



抱き寄せられたままうなずく



「返事は“はい”」

「はい……」

「じゃあ、夜の仕事やめだな」



え?



背中にまわされた腕にもたれるように体をおこすと、新田くんの顔を見上げた




「やめると、家賃が払えない」

「なんだそれ」


なんだそれって……


「新田くん」

「かずま」

…………

止まっていると、ふたたび「かずま」と不機嫌に言われる


「かずま……」

その名前を呼ぶと、突然接近した何もかもが恥ずかしくて顔が熱くなるのがわかった