ノックする音が更に激しさを増した


城田先生はやっとアタシから離れて、そのかわりに手でアタシの口をおさえた

ドアのむこうの相手があきらめて立ち去るのを待っているらしい


だけど、ちっとも立ち去りそうにない気配



お願い、行かないで-------------!!



ノブが乱暴に回されてドアが揺れている


ドンッッ!!!


とそれはノックではなく、明らかにドアを殴るような音だった



先生は居留守を使うことを諦めたのか、眉間に力を入れてアタシをけん制するような視線を向ける


ドアの方へと近づく後ろ姿を見ながら、アタシは逃げようと足を踏み出したけれどひざに力が入らなくて頼りなく2〜3歩しか進めない


逃げなきゃ……!

今逃げなきゃ……!!



机に手をついて、必死に足をふんばるけどまるでおぼつかない



先生がノブに手をかけると同時に外側から勢いよくドアが開かれて、誰かが足音荒く入ってくる

大きな音にハッとして怯えながらそちらに顔を向けると、新田くんが険しい顔をしてこっちを見ていた



大股でアタシに近寄ると、机に置いてあったアタシのカバンをひっつかんでアタシの腕を引く



「新田……!」


城田先生が新田くんを制すように低い声を出した



アタシの腕をつかんで、新田くんはアタシの姿を城田先生から隠す



「ただじゃおかないっすよ」



新田くんは城田先生にそう言い放って、アタシの腕を引いて教官室を出た