-----次の電車が最終電車となります


マニュアルどおりな口調と、耳障りな雑音がホーム全体に響いた


終電……



まだ乾ききらない目をパチッとあけて、一歩踏み出した


「乗らなきゃ」

「ああ」

新田くんもうなずく


あ、切符


歩きはじめたアタシは手に握っていたはずの切符がないことに気づいてカバンを探る


電車がホームに入ってくる音楽がアタシを焦らせて、カバンをのぞきこみながらガサゴソガサゴソ


慌ててひっかきまわすから、カバンの中が大騒動

後ろで人の波に飲まれそうになりながらごそごそしてるアタシを新田くんが振り返った


「今度は何?」

「切符がない」

「はあ??」

「握ってたと思ったのに」


電車のドアが開く


「降りるときにもう一回払え」


そう言って彼がアタシの腕をつかんだ拍子にカバンがアタシの手からすべり落ちていった


「あ!」


全てがスローモーション


散らばっていく、カバンの中身


ヒールの折れたパンプスがバウンドして転がっていく

「行っていいよ!」

アタシは大声を出して新田くんの手から逃れると、しゃがんで拾い始めた