「先輩が、どんな歌うたうのかちょっと楽しみだったのにな~」


……ほんとかね?


寒空の下、さっきまでもみくちゃにしていたハンカチをなぜか片手に持ったままのルリちゃんと手をつないで歩く


「新田先輩の彼女がまさか……教育実習の真木先生だったなんて」

「まあ、教育実習に来る前からあの二人は知り合いだったんだけどね」

「へえ、そうなんですか……

お似合いですよね~」

「どこが??」

「アタシのクラスにも真木先生にぞっこんになっちゃった男子がいて……

毎日一緒に学食でランチしてるって言ってたなあ~」

「……え?」



思わず聞き返すと、「……え?」とオウム返しされる



「毎日一緒にランチ?」

「教育実習の期間、真木先生毎日学食にいたらしいですよ」

「ふ~~ん……なんて男の子?」

「小笠原くんって言って、真木ちゃんのケー番ゲットするって意気込んでたけど結局聞けたのかな~?」


……小笠原くん、ね


「でも、新田先輩が相手だったら小笠原くんに勝ち目ないですね」


い~こと聞いた


「今度、新田先輩と真木先生と……ダブルデートしたいな」


妄想でもしてんのか、反対の手に持っているハンカチをヒラヒラして微笑んでいる




この坂道をあがると、そこはホテル街


散々じらされて、お預けくらってるんだから……今日はもう譲る気ない




って思っているのに、脳裏に浮かんだのは憎たらしいちひろの顔

やけにリアルに思い出すあいつの声


『女の子はエッチが全てじゃないからね』