「それで、当て付けってこと?」


少し体を引いてルリちゃんの表情を確認すると「そんなこと、しません」と気弱な声で返される



ハンカチがどんどんとしわくちゃになっていくのを見つめていた


悪いのは彼女だけじゃないってことか……



そういう考えにたどり着くと彼女を攻め立てるのもおかしい気がして、ルリちゃんが自分で話し出すのを気長に待つことにした



「言ってみな、怒らないから」



優しく言うと、ルリちゃんの横目がこちらをチラリと確認してくる

とがらせた唇

室内なのにコートを着たままなせいで、頬が淡く紅潮している


「はしたないって……思いませんか?」


聞き取れないほどの小さな声

……はしたない?

え?……何言うつもり??

俺までドキドキするし



「……うん、大丈夫」



というと、ルリちゃんがハンカチで口元をおさえて少し体をこちらに向けた



「アタシ、お子様だから……先輩はアタシと一緒にいてもつまんないかなって思って」


……せっかく時間をかけて俺を“シンくん”と呼ばせることに成功してたのに、“先輩”に格下げになってるし


「アタシももっと大人になって、先輩についていけるようにしないと……って、思って」



ナンパについていく=大人になる…ってどんな図式だよ

……ったく






「で?大人になったの?」