バイトが終わって、私物を持ってかずま達のいるボックスの前に立つ


中からは、歌声じゃなくって女の笑い声


「入らないの??」


背後から声がして振り返ると、ちひろが立っていた

俺と交代で入ったバイトがカウンターで接客をしているのが横目に入ってくる


ちひろに返事をする前に、俺の耳に入ってきた声が……意識を全て奪っていく


“男の人とカラオケなんて、初めてで緊張する”


聞き覚えのある高い声の主に顔を向けると、ふわふわのファーがついた真っ白のコート

静電気で髪がやわらかくひろがって……


大学生っぽい男に気安く肩を触らせている…………


……ルリちゃん



「え?」



思わず、声が出た


「どうしたの??」と、ちひろが俺の視線の先を追う


男二人と、ルリちゃんともう一人の女が笑顔でこちらに向かって歩いてくる


立ちつくしている俺達に気づいたルリちゃんが、……一瞬足を止めた


「長瀬くんの知り合い?」


ちょっと、黙ってろ……ちひろのくせに…………っ

横のドアが開いて、外の俺らに気付いたかずまが顔を出した


ルリちゃんの視線が俺たち三人の間を行ったり来たりして……


ハッと気づいたように顔を背けると目の前を通り過ぎていく





一体、今、ここで、何が起こってる??