動揺してるのはアタシばっかりで、かずまはちっとも表情を変えずに言うんだから

真意が読み取れなくてあたしはただただかずまをジィーーーーっと見つめていた


かずまはそんなアタシの目を見返して笑うと、頭をよしよしと撫でてくる


「映画見てから、飯を食うのはどうですか?」


そう聞かれて、アタシはただただうなずくだけ



かずまに会えなかった一週間はものすごく長い時間に思えたのに、一緒にいるこの瞬間は同じ時間の流れとは思えないほど早く感じる


ドキドキさせられて、映画にもドキドキしてしている内にさっきまで明るかった空もあっというまに暗くなってくる


アタシ達は夕食をとるためにかずまの両親がよく行くという料亭に入った


前のホテルでのディナーのときもそうだったけど……

今回もその店の門構えだけで軽くたじろぐ

テレビで見たことあります…みたいな

政治家が「お主も悪よのう」なんていいながら札束が敷き詰められた和菓子の箱を渡し合うみたいな、お見合いでもするかのような個室のお座敷に通されて、アタシはまた室内をキョロキョロそわそわと観察しはじめる


無駄に広い空間

奇抜に生けられたお花

掛け軸には鶴と亀の水墨画

黒電話




カッコーーーーーーーン






…………。



アタシはシャキンと背筋を伸ばすとかずまを見た


かずまは……アタシと目を合わせて、半笑い



「かずま、聞いた??」

「何を?」