マンションの下に下りると、車にもたれて立っているかずま

ズボンのポケットに親指だけを突っ込んで立つ姿がかっこよく見える


ゆったりとしたニットも、ゆるく巻かれたモノグラムのマフラーもものすごく様になっていた


かずまがいつものとは違うメガネをかけているから、顔をまじまじと見つめる

「メガネ……」

「ああ、メガネがたくさん持ってるから」

「似合ってるね」

「教育実習中の先生とお出かけなので、ちょっとだけ変装のつもり」


…………そのわざとっぽいいたずらな言葉まで


かっこいいんですけど


アタシはかずまに手を取られて大きな外車に乗り込んだ

ドアがしまるのを合図に走り出す車



かずまをチラッと見ると涼しい顔で前を見据えている


「どこ行くの?」

「どこでも、行きたいとこにお連れ致しますよ」


「え!昨日は映画って言ってたけど…買い物?

……遊園地とか??」


アタシは色々と思考をめぐらせて、人差し指をあっち向けたりこっち向けたりする


「決めらんない!かずまが決めて」


「俺は、できれば2人だけの空間がいいけど」


考えるまでもないという感じで戸惑うこともなく言うから。アタシは次の句を継げずに固まった


「二人しかいない場所」


そんな似合わない甘いセリフでアタシを誘惑する

なんなの………

そんな事言われたら、それもいいかもって思っちゃうよ……