雄二はフラフラと歩道を歩き、交差点で止まった。辺りを見回すと、見慣れたコンビニエンスストアーの灯りが見えた。とにかく自分がどうなってしまっているのかを確認したかった雄二は、一目散でそこに向かった。
自動ドアが開くと、雄二は勢い良く店内へと飛び込んでいった。レジの脇でスポーツ新聞を読んでいた店員は、慌てて新聞を閉じ、いらっしゃいませ、と雄二に向かって言った。
雑誌が並んでいるコーナーに立った雄二は、右へ左へと首を振り、いくつかの雑誌を手に取ってパラパラとめくった。下を見ると、馴染み深い週刊漫画が置いてあった。雄二は一瞬「懐かしいな」と思った。
しかし同時に、目の前に並んでいるたくさんの雑誌は、雄二に残酷な事実を突きつけた。
力の抜けた雄二は、ヘナヘナと座り込んだ。そして髪の毛をグシャグシャとかきむしった。心臓の鼓動が早くなるのを感じ、呼吸が苦しくなった。
「なんてことだ、俺は1985年という時代に今来てしまっている」
「落ち着け落ち着くんだ、俺は数学の教師じゃないか」
「こんな非現実的なことが起きてたまるか」
「これは夢だろう。悪夢だろう」
雄二は硬く目を瞑った。
