公園を抜け、出口にあった階段をゆっくり下りると、目の前を数台のタクシーが通り過ぎて行った。雄二は静かに正面に目をやる。急いでいたせいもあるが、背中と腋の下、そしてこめかみから汗が噴出してきた。同時に心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
雄二は視線を右へと向けた。そしてまた正面に戻した。そしてそのまま上を見上げた。上空は漆黒の闇が広がっていた。星は見えなかった。
もう一度正面に顔を戻した。
瞬間的に、数分前の、いくつかの出来事が蘇った。
携帯が圏外だったこと。公衆電話の色。そして自販機の真ん中にあった巨人軍の選手の広告。
眼前を凝視した雄二は、声にならない声を発していた。
「……都庁が無いじゃん」
雄二は視線を右へと向けた。そしてまた正面に戻した。そしてそのまま上を見上げた。上空は漆黒の闇が広がっていた。星は見えなかった。
もう一度正面に顔を戻した。
瞬間的に、数分前の、いくつかの出来事が蘇った。
携帯が圏外だったこと。公衆電話の色。そして自販機の真ん中にあった巨人軍の選手の広告。
眼前を凝視した雄二は、声にならない声を発していた。
「……都庁が無いじゃん」
