絵里は窓の外を見ながらぼんやりと考えていた。
あのおじさん、私と二人になった時、いきなり私の中1の時や5年の時のエピソ-ドを言い出した。いったいなんなんだ、この人は、と思ったが、物言わせぬ形相だったので、理由を聞いてみれば「未来から来た」だった。
最初から「未来から来たんですけど」なんて言ってきたら、怪しんだかもしれないけど、どうもその前後が入れ替わっていたのが、逆に真実を物語っているような気がしてならない。
まあ、私の妄想かもしれないが。いずれにせよ今夜、真実がわかる。
「絵里、絵里ったら! 聞いてる? 人の話」目の前で友子が肩を突いてきた。
「あっ、ゴメン、考え事してたわ」
「もうさ~、さっきは人ごみではぐれちゃうし、今は人の話聞いてないし、やっぱり昨日なんかあったでしょ? あの変なおじさんになんて言われたのよ」
絵里は昨日のライブ終演後、友子に雄二のことをしつこく聞かれたのだが、「お父さんが昔世話をした人らしくて、私を見かけたから声をかけてきたみたいよ」とだけ言った。
友子に本当のことを言っても、無駄に騒がれるだけだと思ったからだ。
ライブのあとは、みんなで食事をし、新宿から5駅ほど行ったところにある友子の実家に泊まった。東京へのライブ遠征があると絵里は必ず友子の自宅へと泊めてもらっていた。
そして、今日は昼から原宿へ買い物をしに来ていた。これも毎回のことだった。このあと夜は、渋谷で別のバンドのライブを二人で観る予定だった。
いい加減歩きまわった二人は、ライブ前にファーストフード店に入って、話をしているところだったのだが、絵里は今日に限り、何をしてもうわの空だった。
事実絵里は、昨日の雄二の言葉が頭から離れなかった。駅の売店の新聞もチェックした。しかし今のところ、雄二の話したことが起きた気配は無かった。
あのおじさん、私と二人になった時、いきなり私の中1の時や5年の時のエピソ-ドを言い出した。いったいなんなんだ、この人は、と思ったが、物言わせぬ形相だったので、理由を聞いてみれば「未来から来た」だった。
最初から「未来から来たんですけど」なんて言ってきたら、怪しんだかもしれないけど、どうもその前後が入れ替わっていたのが、逆に真実を物語っているような気がしてならない。
まあ、私の妄想かもしれないが。いずれにせよ今夜、真実がわかる。
「絵里、絵里ったら! 聞いてる? 人の話」目の前で友子が肩を突いてきた。
「あっ、ゴメン、考え事してたわ」
「もうさ~、さっきは人ごみではぐれちゃうし、今は人の話聞いてないし、やっぱり昨日なんかあったでしょ? あの変なおじさんになんて言われたのよ」
絵里は昨日のライブ終演後、友子に雄二のことをしつこく聞かれたのだが、「お父さんが昔世話をした人らしくて、私を見かけたから声をかけてきたみたいよ」とだけ言った。
友子に本当のことを言っても、無駄に騒がれるだけだと思ったからだ。
ライブのあとは、みんなで食事をし、新宿から5駅ほど行ったところにある友子の実家に泊まった。東京へのライブ遠征があると絵里は必ず友子の自宅へと泊めてもらっていた。
そして、今日は昼から原宿へ買い物をしに来ていた。これも毎回のことだった。このあと夜は、渋谷で別のバンドのライブを二人で観る予定だった。
いい加減歩きまわった二人は、ライブ前にファーストフード店に入って、話をしているところだったのだが、絵里は今日に限り、何をしてもうわの空だった。
事実絵里は、昨日の雄二の言葉が頭から離れなかった。駅の売店の新聞もチェックした。しかし今のところ、雄二の話したことが起きた気配は無かった。
