うるうると目に涙を貯めてもう一度先生を見る。

「お母さんみたいな人に感動を与えられる歌を歌いたいの!お願い、夏樹先生」

「…いくらお願いされてもダメなものはダメだよ。今の体の状態は悪くないけど、いつ悪くなってもおかしくない体なんだよ、悠里ちゃんは。もっと自覚してほしいな」

夢、諦めるしかないのかな…。
「…ぅん。わかった。困らせてごめんなさい」

あたしは泣いた顔を隠すように俯いて診察室を出た。