だけどその持論を無視してでも…





あたしは伊織を傷つけたくなかった。

伊織を苦しめることだけは絶対にしたくなかった。







だからアンタに手を出さなかったのに。

そんな素振りを見せたりしなかったのに。







そんなあたしの切ない乙女心を笑うなら、思い知らせてやる!!!








「あたしは藤堂センパイが好きよ?こんなキスなんかじゃ全然足りない。」








そう言って、あたしはセンパイの隣まで歩いていく。







「一ノ瀬……」








センパイが何を感じて、何を言おうとしてるのかはわからない。





だけど…

そんなことはもうどうだっていいや。