路地の真ん中に突然表れる真っ赤な扉をギィ…と開けると。 中からは心地よいミディアムテンポのJAZZとビリヤードの音が聞こえる。 カツカツとヒールを鳴らしてカウンターへ真っ直ぐに歩き。 カウンターの中にいる男のカラダを引き寄せて、チュッと触れるだけのキスをすると。 「ジンライム。」 と、いつものようにカクテルを注文する。 「了解。」 細身のジーンズに細身のTシャツ。 首にいかついシルバーアクセを身につけているこの男は、元木祐吾。 この店のオーナーで… 私、一ノ瀬理央のセフレ。