悪魔になったり、天使になったり、コロコロと表情を変える桐谷慎の態度。





何かがおかしい。
今日の桐谷慎は少し変だ。




こんな風に天使と悪魔が行ったり来たりして不安定な時は…
大抵、桐谷慎自身が何か不安と戦っている時だ。







出会った頃なら全く意味のわからなかった変化だけど…
今では彼の気持ちが手に取るようにわかってしまう。









「どうしたの?
何か不安になることがあった??今日の桐谷慎は少し変だよ……??」








彼の手の上に私の手のひらを乗せて、彼の瞳を見つめると。





彼は私の手をギュっと握り返して



「参った……。
俺にはこの手を離せる勇気なんて…、持てそうにないよ……。」




苦しそうな表情で何かをポツリと呟くと。







桐谷慎は私の体を引き寄せて、きつくきつく抱きしめた。