人事部の掲示板に張られた、しゅーちゃんの移動命令。


ワイワイと集まる人だかりの中、私は頭の中が真っ白になって身動き一つできずにいた。








なんで…?

どうしてこんな大事なコト言ってくれなかったの??






頭の中にあるのは混乱と悲しみ。

私はボーゼンとしながらその張り紙を見つめていた。






「藤堂係長、出世間違いなしだね。」

「うん。ウチのエリートコースって海外事業部勤務が必須みたいなトコあるもんね。」

「あの若さで…スゴいよね~!!!」








遠くで聞こえる後輩達のはしゃいだ声。









しゅーちゃんが出世するのは凄く喜ばしいことだ。

なんだかんだで一生懸命仕事には取り組んでる人だもん。

しゅーちゃんみたいに穏やかで、明るくて、みんなの太陽みたいな人が会社の偉い人になるなら…こんな嬉しいコトはない。






喜んであげるべきだ。




よかったね、って


おめでとう、って言ってあげなきゃいけないことはわかってる。





だけど…

そんな当たり前の言葉が、言えそうにない。