“龍ちゃん” それは早坂さんの呼び名だったんだろう。 きっと、イブは早坂さんのコトを“龍ちゃん”って呼んでたんだ。 しゅーちゃんのあの言葉がどんな風に早坂さんの心に届いたのかはわからない。 だけど… これで彼が長年の呪縛から解き放たれるコトができるなら、こんなことお安いご用だと思えた。 「龍ちゃん、もういい。 もう…、いいよ…??」 子どものように丸まった彼の背中を撫でながら、優しく諭すように早坂さんの耳元で囁くと。 早坂さんはワァァと大きな声で泣き始めてしまった。