「だけど彼女にはカンペキに拒絶されて終わってるから、会えない。
いや…会おうと思えばチャンスはいくらでも作れたんだろうけど、小心者の俺は怖かったんです。

彼女に拒絶されたり、彼女が違う男の隣で笑っている所を見てしまったら…、二度と立ち直れない気がしました。」






“カッコ悪いッスよね~”と笑いながら。
しゅーちゃんは早坂さんを優しい瞳で見つめている。



まるで、過去の自分をみるように

過去の自分に語りかけるように

しゅーちゃんは言葉をつむぐ。










空気を読まずに乱入してきた大人一名の話をいつしか私たちは真剣な空気の中で聞き入っていた。








「忘れることも進むこともできない自分は、小さくて弱っちい生き物なんだとあの時、初めて知りました。

今も失恋中は失恋中だけど…、あの時の自分はサイコーにカッコ悪くて、正直思い出すと吐き気がします」





そう言って私の方をフッと見ると。

照れくさそうな顔をしてしゅーちゃんがクシャッと笑った。