「その顔。
理解に苦しむって感じだね。」
早坂さんは私の顔を見てクスッと笑う。
「ま…、当たり前の反応だろうな。
俺だって、自分で自分が気持ち悪かったから。」
そう言って。
早坂さんは私の目をジっと見つめた。
「優しくて、可愛くて、儚くて。天使みたいな妹を俺は誰よりも愛してた。
誰よりも幸せに、誰よりも大切にしてやりたいと願う。
そんな女が…たまたま自分の妹だっただけだ。」
そう強い目で言いきる早坂さんに
「それ……、桐谷慎は……」
と、恐る恐る訊ねると。
「もちろん。
カンのいいアイツが知らねーワケないでしょ?
ハッキリと言ってはないけど…、勘づいてるよ。」



