桐谷慎のワイシャツの袖口をキュッと握ると 「うん。知ってる…。」 桐谷慎は私をギュッと抱きしめ返した。 「俺の過去にはいつも必ずイブがいるから…、高宮にはあんまり話したくなかった。」 そう言って。 抱き寄せられた桐谷慎の胸元から香るのは…Happyの匂い。 苦しい。 苦しいよ、桐谷慎。 『私がアンタを幸せにしてあげる!!』 なんて大口叩いたクセに苦しいの。 アンタの中のイブがどれだけ大きくて、 かけがえのないもので、 大切で、 忘れられない存在なのかを知っているから。