怖い。 怖いよ、桐谷慎。 早坂さんの存在が私とアンタの関係を変えていく。 何も知らず、 何も気づこうとしなかった、 つい数時間前の屋上のあの幸せな時間には戻れそうにない。 「桐谷…慎……。」 スーツの裾をギュッと握りしめながら、彼の顔を見上げると。 「大丈夫。とりあえず…、俺の部屋に行こう。」 真顔でまっすぐ前を向きながら。 桐谷慎は私の肩をギュッと抱き寄せた。